2007年01月31日

銀河ブログ協会の冒険 その10

■これまでのあらすじ

 ある日、お釈迦様が下界を眺めておりますと、アキレスが歩きタバコをする喫煙者を追い越そうと必死で駆けておる様子が見えました。しかしアキレスが喫煙者のいる場所(A地点)に到達する間に喫煙者は先に(B地点)進んでおり、更にアキレスが喫煙者に追いつこうとB地点にに到達する間に喫煙者は更に先に(C地点)に進んでいるので、アキレスは永遠に喫煙者に追いつくことができず、永遠に副流煙を吸いこみ続けることになってしまいます。
 そこでお釈迦様は大変悩まれました。アキレスが肺がんに冒されるのはどの地点に到達した瞬間であろうかと。



■銀河文学連盟ノ最期

 銀河文学連盟は銀河の文学連盟である。続きはまだ考えていない。



つづく
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2006年11月21日

銀河ブログ協会の冒険 その9

■戦艦イリオモテの反乱 その3

宛 ノコノス宇宙連合艦隊 第三艦隊 戦艦イリオモテ 艦長バーマン宇宙軍大佐

 貴官 ノ 照会 サレタ 特殊工兵第十三小隊 ハ ノコノス事件発生時 ニ ブチ陸軍基地 ニテ 全滅 セルモノ也. 又 リンクス中佐 ハ 特殊工兵教導大隊 ノ 先任教官 デアリ 特殊工兵第十三小隊 ニ オケル 所属記録 ハ 存在 セズ. 注意 サレタシ.

自 陸軍参謀本部 情報局 局長  サーバル陸軍少将 


 スクリーンいっぱいに広がったメッセージの上にちろちろ視線を泳がせながら、バーマン艦長はやはり自分の勘は外れていなかったと確信した。

「今すぐリンクス中佐をここにつれて来い」

「その必要はありませんよ、バーマン艦長」

 リンクス中佐だった。バーマン艦長がゆっくり振り返ると、いつの間にか艦橋は偽特殊工兵第13小隊のみなさんに銃口を突きつけられた可愛そうな軍人たちで溢れかえっていた。

「艦長、どうか余計なことを考えずに聞いてください。何も言わずに、この艦を我々に引き渡してください」

「君たちは何者で何がしたいんだ?」

「我々は特殊工兵13小隊ではありません。ノコノス事件の混乱に乗じて私が特殊工兵各部隊から引き抜いてきたかつての教え子たちです。また、我々の目的は衛星バステト上陸ではありません。我々の目的はノコノス事件に関わった主要ブロガーの抹殺です。銀河各地に散らばるブロガーどもをしらぶしに殺すためには、我が軍唯一の空間圧縮装置搭載艦である戦艦イリオモテが必要なのです」

「ふーん。ずいぶん思い切ったことするね君たち」

「もとより死は覚悟の上。これだけの大災害を引き起こしておきながら素知らぬ顔で生をむさぼっている阿呆どもにノコニアン魂を見せ付けてやり、死んでいったものたちの仇を討ちたいのです」

 リンクス中佐の顔には不退転の決意と決死の覚悟がありありと浮かんでいた。一方バーマン艦長も必死だった。彼らの言い分を真面目に聞いてやるふりをすることに必死だった。しかし、もう限界だ。なんだよあの大げさな顔は、必死でこらえていた笑いが腹の底からはじけ飛んでしまった。

ばははははははははははははははははははははははっはははははははははははははああっははははははははははははははははっははは。

「はは、はは、ははは、はあはあ、君たち何?君たちだけで思いつめてさっきの計画練ったの?なんだ、そんなことならもっと早く言ってくれれば良かったのに。言っとくけど本艦乗員だって全員が遺族だよ?というよりも人口の半分が死んでしまったんだから、ノコニアン全員が遺族なんだよ。だからさあ、君たち自分たちだけで悩まないでさ、うちらにも協力させてよ」

 いきなり大爆笑されて完全にあっけにとられ、瞳孔開きっぱなしのリンクス中佐を見据えながら、バーマン艦長は続けた。

「それと、死は覚悟の上とか言ってるけど、君たち死ねば簡単に責任取れると思ってるの?甘いよそれ。……これは軍のトップシークレットだったんだけど言っちゃうね。実は私は不死者なんだよ。死ねない私はどう責任取ればいいわけ?答えよリンクス中佐」

「ええっ?不死者なんですか?そうですか……それは、その、あの……」

「無理して答えを探さなくていいよ。君たちにはどうせわかんないだろうしな、死ねない者の苦しみは。ちょっと長話していいかね?」

 気おされっぱなしのリンクス中佐は無言でうなづいた。

「もう何百年前のことだったか忘れたけど、不治の病にかかったことがあってね。医者にも見離されて、もう死を待つだけの日々を送ってたことがあったんだよ。そんなある日、一人の医者が現れた。本人が言うにはモグリの医者だそうだ。何の見返りも望まずに、彼は私の命を助けてやると言った。しかし、同時に恐ろしい後遺症が残るだろうとも言った。手術は成功して一見なんの異常もなかったかのように思えたが、月日がたつごとに後遺症の恐ろしさが現れてきたんだ。死ねなくなってしまったんだよ。どんな危険な目にあってもどんな重い傷を負っても死ねないし、病気しても普通死ぬ症状で瀕死の重体のまま何ヶ月間もうなされることがあるんだ、一時期全身がガン細胞に埋め尽くされたこともあったよ。あと、親しい人たちは私を置いてどんどん死んでいく。絶望してもう二度と家族なんか作るものかと思ってみても、やっぱり寂しさに負けてまた家族作っちゃうんだよ。自分だけ取り残されるってわかっててやっちゃうんだ。わかる?この気持ち?それでそういうことひっくるめて生きてること全てに耐えられなくなって何回か自殺を試みたんだけど、やっぱり全然駄目で、苦痛だけ味わってどうしても生き残ってしまうんだ。こんな恐怖があるかね?……ちなみに後で調べてみてわかったんだけども、あのモグリの医者は札付きの不死者で、暇に飽かせていろんな宙域に行っては人の命を救う振りして悪質な嫌がらせをしている奴だとわかったんだ。そして不治の病にかかって必死に命乞いをしてきた私には無意味に長い人生を押し付けて去っていったようなんだ。私はね、いつかそいつにもう一度会って、あらん限りの口汚い罵倒を浴びせてやることが夢なんだよ。だから、もうそろそろこの星に居続けて奴を待っていてもしょうがないかな?こっちから探しに行ってもいいんじゃないかな?とか思ってるわけ。で、何の話だったっけ?」

 右脳と左脳がもんどりうって格闘している状態からやっと解放されたリンクス中佐は答えた。

「ですから、私たちがこの艦を使って、死んでいった者の仇討ちをしたいという話です、たしかそういう話でした……」

「いいよ。この艦を貸してあげるよ。あと我々もついてっていいだろ?艦の操縦に習熟している乗員は君たちにとっても必要だろう。おい、みんな、彼らの仇討ちを手伝ってやろう、いいな?」

「サーイエッサー!」

 副艦長以下全員が叫んだ。NOKOMATAたちも叫んだ。もう銃を突きつける者も、突きつけられる者もいなかった。自分たちの家族を奪った阿呆どもを殺して回ることはノコニアン全員の悲願だったのだ。

「リンクス中佐、まずどの宙域に向かえばよいか?」

「は、ZZZ‐84N‐C3が良いかと思われます」

「航海長、ZZZ‐84N‐C3へむけて空間圧縮用意」

「ZZZ‐84N‐C3へむけて空間圧縮用意、サー」

 矢継ぎ早に指示を出しながら、バーマン艦長は思い出したように言った。

「やっぱり挨拶なしに出て行くのはまずいだろう。通信士、宇宙連合艦隊旗艦ノコジャラシ一世号に打電、キンキュウレンラク.ダイ3カンタイ ショゾク ノ センカン イリオモテ センセン ヲ リダツ ス.クリカエス ダイ3カンタイ ショゾク ノ センカン イリオモテ センセン ヲ リダツ ス.」

 10分後、戦艦イリオモテは宇宙空間にぽっかり空いた穴の中に姿を消した。行き先は宙域ZZZ‐84N‐C3。



続く
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2006年11月17日

銀河ブログ協会の冒険 その8

■戦艦イリオモテの反乱 その2

 偉大なるノコノス宇宙連合艦隊司令長官兼宇宙軍大将兼スコティッシュフォールド侯爵であるところのタマ提督の失禁をさかのぼること約1時間前、戦艦イリオモテ艦橋にて。



「本艦のスケジュールを確認いたします。本艦はこれより二一〇〇に第2衛星バステトの周回軌道に入り、〇一〇〇にテフヌト基地に着陸、特殊工兵第13小隊を下船させます。なお、テフヌト基地における補給はバステト標準時……」

 航海長ウンピョウ少佐の朗々たる美声はノコノス宇宙軍内でも有名であり、現在彼が行っている報告も一般業務というよりは、一つの芸術作品であると言えた。戦艦イリオモテ艦長のバーマン大佐はウンピョウ少佐をいたく気に入っており、考え事をする際には必ず少佐にどうでもいい報告をさせ、その朗々たる美声を聞きながら思索のときをすごすのが常であった。

 バーマン艦長は純白の体毛をふさふささせながら、出航以来心に染み付いてなかなか落ちない疑惑について一人思い悩んでいた。艦長の悩みのもとは特殊工兵第13小隊である。特殊工兵‐通称NOKOMATA‐とは、ノコノス陸軍所属の特殊部隊であり、簡単に言うと破壊工作や要人暗殺等のヤバイ任務をこなすための部隊である。地球の読者諸君に説明するとすれば、グリーン・ベレーやスペツナズみたいなものだと想像してもらえばわかりやすいだろう。そんなNOKOMATAの一個小隊が、衛星バステトにどんな用があるというのか?そしてなぜかこの一個小隊を指揮しているのは中佐である。一個小隊の指揮官が中佐?おかしいじゃないか?今思えば、艦に乗り込んできた経緯からして怪しい。リンクス中佐なる小隊指揮官はこう言った。

「陸軍参謀本部情報局第3管区所属特殊工兵第13小隊リンクス中佐であります。本隊は情報局第3428命令により貴艦に乗艦し、衛星バステトのテフヌト基地に向かいます。こちらが命令書です、ご確認ください」

 命令書には確かに中佐の言うとおりのことが書いてあったし、本艦が衛星バステトに向かうのも元々あった任務の一環であった。しかしよくよく考えてみると、確か情報局第3管区ってアビシニア自治区のブチに本部を置いていたんじゃなかったか?ブチはノコノス事件の大墜落で消滅したんじゃなかったか?
 何かが心に引っかかる。おかしい。そこでバーマン艦長は宇宙連合艦隊司令部を通して陸軍に照会してもらった。しかしノコノス事件の大混乱の中、照会に時間がかかりすぎてしまい、返信を待たず出航して現在に至っている。未だに返事は来ていない。

「……テフヌト基地離陸は〇九三〇を予定しております。なお、本艦は衛星バステト周回軌道上にて……」

「艦長、陸軍参謀本部より照会の件、返信が届きました」

「よし、ウンピョウ少佐、黙ってよろしい」

 ウンピョウ少佐が残念そうにその美声をのどの奥にしまいこむのを尻目に、バーマン艦長は急いで陸軍参謀本部からの返信をスクリーンに反映させた。



戦艦イリオモテの反乱 その3に続く
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2006年11月16日

銀河ブログ協会の冒険 その7

■戦艦イリオモテの反乱

「……においては、星都チェシャの直撃は免れたものの、アビシニア自治区のブチ、シマ、マダラ、タマ各都市及びチンチラ諸島が消滅しました。これにより陸軍の損害は総軍の50%を喪失。空軍に関しては、アビシニア、チンチラ管区の航空隊が全滅したほか、マンティカン、バーマン空軍基地にも被害が出た模様です。また海軍においては、チンチラ諸島のラムキン軍港に集結中であった第7艦隊が全滅し、大津波によって全ての艦隊に被害が及んでいます。小艦艇はほぼ全滅のようです」

「我々の方はどれだけやられた?」

「はい。我がノコノス宇宙艦隊は、70%弱の艦隊が惑星軌道上に展開していたため、ノコノス総軍の中で最も被害が軽微ですが、それでもマダラ宇宙港に停泊中であった第4、第6、第22パトロール艦隊及び竣工中のペルシャ級戦艦ヒマラヤン、ボンベイ、ベンガルが消滅し、戦力の15%以上を失いました」

「酷いものだな」

 偉大なるノコノス宇宙軍宇宙連合艦隊旗艦ノコジャラシ一世号の艦橋座乗されているノコノス宇宙連合艦隊司令長官兼宇宙軍大将兼スコティッシュフォールド侯爵であるところのタマ提督は瞳孔を細めた。

「全くです」

 宇宙連合艦隊参謀総長ミケ中将も、短い尻尾をしきりに左右に横に振りながら報告を続けた。

「惑星ノコノスの治安に関しては、現在のところ各大陸で異星人ブロガーに対する排斥行為が繰り広げられ、当局もそれ黙認しているようです。当局の発表によると、今までで約387万人の異星人ブロガーが生きたまま生皮を剥がれた後に射殺されており、大半がノコノスに居住していながらノコノス事件に関与していたブロガーのようです」



 ノコニアンの人口の半分を死に追いやり、ノコ貿易に壊滅的な打撃を与えたノコノス事件以来、惑星ノコノスは混乱の極みに達している。特にノコニアンのブロガーに対する怒りは激しく、ノコノス全土で激しいブロガー排斥運動が繰り広げられている。

 それにしても387万人という被害数は多すぎるのではないかと疑う向きもあるが、これには二つの大きなの原因がある。
 まず一般にブロガーという種族は、人の粗探しは大好きなくせに自分を取り巻く状況の認識に乏しいという悲しい習性を持っており、この期に及んで、自分は関係ないから襲われないだろう、自分は表現の自由を行使しただけだから大丈夫だろう、匿名だからばれないだろう、などなどの極端に甘い現状認識しか持ち得ず、ノコノスから逃げ出そうとしなかったというのが、第一の原因として挙げられる。
 そして第二の原因は、鎮圧に出動したはずの軍隊が率先してブロガーを射殺して回っている事実である。自分の家族がわけのわからない電波のせいで殺されたにもかかわらず、電波を発していた当の本人が「ボクは悪くありません」あるいは「可愛そうなノコに同情する記事を書いた私はいっぱしのジャーナリストです」みたいな顔をして間抜け面をぶら下げていたとしたら、間違いなくぶち殺したくなるだろう。ましてや軍には十分な銃火器の備蓄があるのだ。ノコノスの軍人たちは自分の気持ちを最もストレートな形で表現することができた。



 報告を聞き終わるなり、タマ提督はフレーメン反応をこらえながら言った。

「まずいな。あまり大っぴらに殺しすぎると、やれ表現の自由が汚されただの卑劣な暴力行為を許すなだの、事情を知らないくせに適当に書き散らす阿呆ブロガーの電波記事が殺到してくるぞ」

「仰せのとおりです。しかし、民衆のブロガーに対する憎悪はとても制止できるものではありません。迫害運動は当分続き、ブロガーどもの電波殺到は不可避でしょう。そこで、私は惑星全体を一時的に無線封鎖するべきであると考えます。我が宇宙軍は現在ノコノス軌道上に封鎖を行うに十分な艦隊を保持しつつ展開中であり……」

 突然、ミケ参謀長の言葉をさえぎって緊急連絡が入った。

「キンキュウレンラク.ダイ3カンタイ ショゾク ノ センカン イリオモテ センセン ヲ リダツ ス.クリカエス ダイ3カンタイ ショゾク ノ センカン イリオモテ ……」

「なんだと?イリオモテが?どういうことだ?」

 ミケ参謀長はわめき散らし、タマ提督は失禁した。



戦艦イリオモテの反乱 その2へ続く
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2006年11月03日

銀河ブログ協会の冒険 その6

■トゴネマ・ノン・ロギ

 トゴネマ・ノン・ロギもまた、銀河のブロガーである。
 ある人がエミン・ラダクを評して「トゴネマ・ノン・ロギと同一人物」としたが、もちろんエミン・ラダクとトゴネマ・ノン・ロギは生物学的に見ても戸籍区分上から見ても、病理学上から見ても、同一人物ではない。しかし「同一人物」と書かれても仕方のないような、どうしようもなく似ている側面もある。ズレまくった議論まがいの詭弁を吐き散らかすという側面である。

 議論とは何か?
 かの高名な「大銀河百科大全」によると、
論者Aと論者Bが互いの持論(A´とB´)を交換することによって、課題Cから共通理解Dを導き出すプロセス
であると記述されている。
 この理解は、最低限の教養を身につけている銀河市民にとっては当たり前の合意として存在している。
 しかし、ことブロガーにおいてはこの程度の最低限の教養を身につけている者すら稀で、GWW上には議論の体裁をとった口げんかや誹謗中傷合戦が繰り広げられている。そして特にトゴネマ・ノン・ロギにおいて、その勘違いの程度が度を越えてひどい。さらに彼の、自分が議論であると信じ込んでいる無駄な口論をだれかれかまわず吹っかける異常行動には目を見張るものがあり、ひそかに銀河中の精神分析医の格好の研究材料と成り果てていた。

 トゴネマ・ノン・ロギにとって議論とは、論者Aと論者Bが課題Cについて話し合う際、課題Cから派生するところの課題(≒難癖)C2、C3、C4、C5……を作り出すための一連のプロセスであり、議論(≒言いがかり)とは次の議論(≒言いがかり)を拡大再生産するためのプロセスに他ならない。そのため、共通理解Dが導き出される可能性は絶望的に低い。仮に共通理解Dが見出されかけたとしても、その言葉尻から派生するところの課題(≒難癖)C2、C3、C4、C5……を自ら生み出してしまうのだ。
 また、彼は議論には勝敗があると思い込んでおり、最後までしゃべり続けている者が勝者だと確信している節がある。ある目撃情報によると、トゴネマ・ノン・ロギがディスプレイの前で射精しながらヘラヘラと舌だけを動かして笑い続けている姿が捉えられており、ディスプレイには一面にトゴネマ・ノン・ロギのコメントが10秒間隔で詰め込まれたウェブサイトが映し出されていたという。そのウェブサイトは翌日閉鎖した。

 だから、まともな市民は決してトゴネマ・ノン・ロギと交流を持とうとしない。下手にかまうと議論の名の下に、素敵な読解力の発露であるところのあらゆる難癖言いがかりのオンパレードに付き合わされてしまうからだ。


トゴネマ・ノン・ロギ語録(抜粋)
「俺は丁々発止と言葉をやりあう白熱した議論がしてえんだ。落としどころなんて考えねえ」
「俺の正義感や価値観で叩いても叩いてもぶっ叩きまくっても壊れない相手を見ると、この宇宙は間違っていると確信するんだ」
「俺みたいな超一流の論客になるとどんなくだらないことでも議論にできるんだぜ」


 しかし、彼が議論をしたがるのはあくまで彼が「勝っている」あるいは「勝てそうだ」と思っているときだけである。彼は少しでも自分に都合の悪いことを言われるとすぐにコメント欄を凍結したり、「俺にかまうな」などと意味不明の捨て台詞を残してその場から逃げ出そうとするので、ブロガーの一部からも「あいつは議論好きなんかじゃなくてただのガキだ」と思われている。つい最近も、うっかり自分以上の論争巧者に議論(≒言いがかり)をぶつけて逆襲されてしまい、逃げを打つためにコメント欄を凍結し、挙句の果てに全編ごまかしと欺瞞に満ち溢れた「コメント欄閉鎖の誓い」なる長大な記事を書いて銀河中の嘲笑を買ったことは記憶に新しい。

 ともかく、トゴネマ・ノン・ロギは議論まがいの難癖野郎として、紛争地域に現れては余計なことを吐き散らして被害を広げる駄目ブロガーとして銀河に広く認識されており、銀河ブログ協会のチェックが入っている要注意ブロガーの一人でもある。



続く
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2006年10月28日

銀河ブログ協会の冒険 その5

■エミン・ラダク その2

 エミン・ラダクは恐怖した。必ずやKUSO紳士録は潰さなければならない。

 KUSO紳士録とは、KUSOブックマーク利用者の有志が作り上げたWeb上の紳士録のことである。誰もが書き込めるオープンスペースにKUSOブックマーク利用者の紹介文を書けるようにし、最終的にKUSOブックマーク利用者の紳士録として閲覧できるようにしようというものである。

 この紳士録がGWW(the Galaxy Wide Web)の片隅でスタートしたとき、特に文句を言う者も無ければ、率先して話題にしようとする者もいなかった。なぜなら、普通の判断力を備えた生物ならば、KUSOブックマークの内輪で楽しんでればいいんじゃないのと思って次の瞬間には忘れるからだ。

 しかし、エミン・ラダクは違った。彼は骨の髄液の一滴までもが凍るほど恐怖した。彼の薄皮のように張り詰めた見栄と体面の膜は、KUSOブックマーク利用者に対してのみ張られていた。KUSOブックマーク利用者の間でだけ有名であればいい、KUSOブックマーク利用者にだけエミン・ラダクは大した奴だと思われていればいい、他のことは知らない、見ない、見たくない。なのに、KUSOブックマークサービスの外に、KUSOブックマーク利用者の紳士録が誕生してしまった。

 KUSOブックマークサービスはIDを発行して使われるサービスであるため、もし誰かがエミン・ラダクの悪口を書いた場合には、彼は書き手のIDをたどって相手を特定し例の基地外じみた反論記事を書きまくって相手の口を塞げば間に合っていた。今まではそれで通用していた。しかし、KUSOブックマークサービスの外に書き込み自由な紳士録ができてしまっては状況が変わってくる。まず自分の悪口を書かれた場合に相手の特定ができない。相手がわからなければ基地外じみた反論記事を書きまくることができないではないか?反論記事を書きまくることで、周りの人を閉口させることで、かろうじて保つことができていたボクの見栄と体面はどうなる?エミン・ラダクはアイデンティティ崩壊の危機に立たされた。

 彼が見栄と体面の薄い膜の内側でクヨクヨなやんでいるうちに、KUSO紳士録「エミン・ラダク」の欄には彼の見栄と体面をぶち破るようなコメントが続々とつき始めた。
「自分の体面を保つためには手段を選ばないチキン野郎」
「都合が悪くなると、わざとズレまくった議論を展開してごまかす」
「トゴネマ・ノン・ロギと同一人物」

 かくして、エミン・ラダクは完全に発狂した。

 必ずやKUSO紳士録は潰さなければならない。彼はKUSO紳士録の人物名簿を消して回ることを決意した。自分の欄はもとより、自分に関係のない人物の欄まで片っ端から消して回った。KUSO紳士録の存在自体が許せない。もうこうなったらボクが死ぬかKUSO紳士録が死ぬかのどちらかだ。アハハ、アハハ、ドレカラケシテコーカナー。ねえママ、ボクはすごいんだよ?紳士録のどの欄でも自由に消せるんだよ、ほらね、今消したよ、すごいでしょ?ボクは全能だ、どんなコメントだって消してみせる、ボクはボクの見栄を傷つけるコメントは消去して見なかったことにできるんだよ?アハハ、アハハハハ……。

 数日後、久しぶりに更新された彼のブログ「体面是命」には、誇らしげに以下の文字が躍っていた。
「KUSO紳士録の情報を消して回っているのは私です」
「私がやりました」
「ああゲロッてやるよ、やったやったやったった、やったがどうしたザマーミロ、ブェヘへへへ」
 彼の周りの人間は、彼を完全に腫れ物として扱った。だれも彼の卑劣な荒らし行為を正面切って弾劾はしなかった。これは彼の周囲のブロガーが優しかったということでは断じてなく、発狂した相手に対して多くの人が無意識にとる自衛反応であったに過ぎない。だれも背後から刺されたいとは思わないからだ。

 こうして「KUSO紳士録荒らし事件」は、なんとなく後味が悪いままうやむやになり、KUSO紳士録自体もうやむやのまま放置されることとなった。



トゴネマ・ノン・ロギ編に続く
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2006年10月19日

銀河ブログ協会の冒険 その4

■ソグ・キマ

 銀河ブログ協会長官ソグ・キマは激怒した。なんだこの報告書は、まるで報告書の体を為していないではないか、だいたい最初の2,3行を読んで全体のわからない報告書など報告書ではないという趣旨のことを調査員ローゲ・ロゲに対して、巻きぐその如き執拗さで責め立てた。ローゲ・ロゲはゲロを吹いて昏倒した。

ピピー、ピピー。

「秘書室です。調査員カバラ・スウが長官に面会を求めています。ネアンデルタール人がなんたらかんたらとわめいて居られますが」

その件はカバラ・スウに任せてある。奴の好きにさせろ」

 人類は救われた。ピピー、ピピー。

「秘書室です。ブロガーのグーテンモルゲンが挨拶にこられました」

「殺せ」

 銀河ブログ協会長官ソグ・キマは多忙を極めている。下らない報告書を読む暇はないし、挨拶しかできないブロガーと会う時間もないのだ。しかしブロガーから鬼のソグ・キマと恐れられているこの男は、吐寫物にまみれたローゲ・ロゲの気道確保をしてやることも忘れてはいない。やがてローゲ・ロゲは意識を取り戻した。

「長官、おっしゃることは良くわかります。しかし、エミン・ラダクなるブロガーはKUSO紳士録荒らし事件への関与を自身のブログで公言しており、さらに今回のノコノス事件においては、この事件への言及をしない旨を書き込んでいます。それらの事実をあわせて考慮しますと……」

 ソグ・キマは調査員ローゲ・ロゲのゲロまみれの顔面を直視しながら思う。報告書はろくなものを書けないし嫌な匂いも振り撒くが、こいつは大した奴だ。こいつはいつもゲロを吹いて昏倒するが、そのことで仕事の支障をきたすことは一度も無い。今だって意識が戻るなりさっきの話の続きを平然と続けているではないか。

「つまりは、こういうことか。ノコノス事件発生後エミン・ラダクは事件への非言及を公言している。これはKUSO紳士録荒らし事件のときと反応は真逆であるけれども、類似点がある。エミン・ラダクは実際はノコノス事件に関与しているにも関わらず、何らかの理由で関与を隠しているのではないか?こういうことをいいたいのか?」

「はい。そのとおりです。詳しくは報告書の後半に書いてありますので、お読みください」

「そういうことは文頭に書けばか者」

 ローゲ・ロゲはゲロを吹いて昏倒した。ソグ・キマはおもむろに立ち上がり、不思議な液体で溢れているローゲ・ロゲの口に手を入れて気道を確保してやり、手を拭いて、もう一度手を拭いて、報告書を手に取った。

 銀河ブログ協会ソグ・キマ。人読んで鬼のソグ・キマ。しかし、部下の多くは彼のことを仏のソグ・キマと呼ぶ。



エミン・ラダクその2に続く

 
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2006年10月07日

銀河ブログ協会の冒険 その3

■エミン・ラダク

 エミン・ラダクは銀河のブロガーである。彼のブログは、一言一句にいたるまで自分の見栄と体面を保つための欺瞞的修辞に満ち溢れていた。彼の書いた文章は常に、彼を嘲笑する者が現れはしないかという恐怖に基づいて旋回しており、彼の思考はやがて現れるであろう「嘲笑者」の嘲笑を如何にして回避し、己の見栄と体面を如何にして守るか、その一点にキリのような鋭さで集中していた。

 そんな彼に対して、笑われるのが嫌なら何も書かなければよいではないかと忠告する人もいないではなかった。しかし彼はそのような忠告を聞くたびに、鍛え抜かれた欺瞞的修辞に満ち溢れた文章で反論して相手を沈黙させた。もちろん相手はやり込められて沈黙したのではなく、親切心から、あるいは素朴な疑問から質問をぶつけただけなのに何千字もの反論記事を送りつけられてあきれ果てて口をつぐむだけなのであるが、彼はただひたすら気づかないふりをして相手が沈黙するまで反論記事を書き続けるのを止めなかった。

 ボクヲワラウナワラウンジャナイヤメテクレボクハボクノおなにーブンショウヲタレナガシテイルダケナンダボクヲセメナイデクレデモボクノおなにーヲミンナニミテモライタインダホメテホシインダオネガイダヨ。

 彼がいつから見栄と体面の虜になってしまったのかは定かではない。一説によると、ブログ開設間もない段階でたまたまヒットを飛ばしてしまい、そのときの快感を忘れられず、かといって二度と同じようなヒットを飛ばす才能もないという現実に責めさいなまれた結果だとも言う者もいるが、当の本人はひたすら自己弁護と欺瞞に満ちた反論記事を書くこと以外のことをしないので、真偽のほどは明らかではない。

 彼はブログを書くときに、常に自身の見栄と体面を守れると思われるような内容の記事しか書かなかった。彼の記事はほぼ毎回、何となく多数決で可決されそうな当たり障りの無い内容を、表現を極端にすることで脚色しただけの代物である。だから読んでもまったく面白くない。にもかかわらず曲がりなりにも読者数を増やしてしまったのは、ひとえにブロガー同士に同病相哀れむ部分が少なからずがあったからだろう。彼の書くことは確かに面白くない。しかし、彼の見栄を保つために手段を選ばない滑稽さは多くのブロガーの心の恥部を大なり小なり刺激するものであり、そういう無意識的な刺激がアクセスという形を伴って彼のブログに還流しているのであろう。要するに多くの読者が彼の滑稽さを心の中で嘲笑し、何となくまた彼の愚行を見に行きたい、見ることで俺は私はこのエミン・ラダクなる見栄っ張りブロガーよりはマシだまだ大丈夫だという安心感を得たいという欲求を満たすために彼のブログを読みに来るのである。



ソグ・キマ編に続く
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2006年09月28日

銀河ブログ協会の冒険 その2

■ノコノス事件と銀河ブログ協会の設立

 惑星ノコノスはノコの一大産地として知られ、「ノコノスを知らずしてノコを語るな」と言われるほど、銀河中のノコ愛好家から親しまれていた。ちなみにノコとはノコノス原産の四足小形動物で、体長は約30センチほど、爪を自由に出し入れできる。また目は顔面前方に位置し、瞳孔は縦長である。地球の哺乳類ネコに酷似する生物である。

 しかし、あの忌まわしいノコノス事件を機にノコノスのノコ産業は壊滅的な打撃を受け、現在に至るまで立ち直れない状態が続いている。



■ノコノス事件前史

 ノコ貿易は惑星ノコノスにとって生命線であり、同時にノコニアンの繁栄を約束する一大事業だった。ノコを愛玩用ペットとして輸出することを最初に思いついたのは、今からさかのぼること約550年前、ノコノスを統一したノコジャラシ1世であるという。
 当時ノコはノコノス土着の宗教ノコ教によって、神の使いとして保護されており、ノコノス全土には無責任に餌をあげる信心深いノコニアンによって増やされた野良ノコが溢れかえり、深刻な公害問題に発展していた。また、ノコを利用した宗教裁判が相次ぎ、ノコ教会勢力による一種の魔女狩りが横行していた。この事態を重く見たノコジャラシ1世は、野良ノコを他の惑星に愛玩用ペットとして売り飛ばすことを考えた。惑星によってはノコを愛玩用ペットとして珍重する風潮があり、野良ノコに適当にブランドをつけて売り飛ばせば儲かるし、野良ノコ公害問題も解決するではないか、こう考えたらしい。
 かくしてノコジャラシ1世の目論見は大当たりし、ノコノスはノコ輸出によって銀河有数の富裕惑星となったのである。



■ノコノス事件前夜

 ノコ輸出惑星として繁栄を極めたノコノスであったが、現在はその面影を見つけ出すことも難しい惨憺たる状態になっている。かつて月産30万匹を数えたノコ生産高は今では月産200匹程度に落ち込み、その中でも輸出に耐える毛並みのノコは半数に満たない。この惨状をもたらしたのはすべてノコノス事件であり、この事件をきっかけに、ノコノスの繁栄に終止符が打たれたといって良いだろう。

 ここで、ノコノス事件の状況を、順を追って説明しよう。

 まずバンドンという作家が登場する。この作家が、不幸にもすべての始まりを作った人物である。この作家はノコノスの新聞にコラムを持っており、そのコラムの一部が、よりにもよってブロガーにスッパ抜かれてしまったのが不幸の始まりだった。バンドンは自身のコラムで「増えすぎた飼いノコを放置するのが忍びないので、生まれた仔ノコを殺害している」という内容の文面を書いた。これは野良ノコの公害に悩まされた歴史のあるノコノスの常識的感覚で言えば至極真っ当なことであり、惑星内でこの作家を非難する動きは、一部のノコ教狂信者の反発以外はまったく無かった。
 しかし、この一新聞の一コラムに書かれたに過ぎない内容をスキャンしてウェブ上に載せ、子供っぽい非難を展開し始めたグループがおり、さらにブロガーたちがその尻馬に乗っかった。かくして、18億5000万匹のノコと20億人のノコニアンを死に至らしめ、ノコノスの人口の約半数を死滅させたノコノス事件が幕を開けることになる。



■ノコノス事件

 ノコ暦2099年8月、ノコノス地方紙「毎ノコ新聞」にバンドンのコラム「ノコ殺し」掲載。その中にノコ殺しに関する記述があった。発表当時の反響は一部狂信者による毎ノコ新聞購読停止以外、反響と呼べるようなものは無かった。

 同年8月20日、一部のブログで毎ノコ新聞バンドンのコラム「ノコ殺し」のスキャン画像を掲載しての非難記事があがりはじめる。このスキャン画像はもちろん著作権を無視し勝手に転載されたものである。

 同年8月21日、KUSOブックマークサービスを中心にバンドンの仔ノコ殺しに対する非難記事が注目を集め始める。はじめに注目しだしたのは主にブロガーの中でも最下層に属するものたちであり、そいつらより自分はマシだと信じているより低俗なブロガーが尻馬に乗り始めた。これにより、バンドンのコラムを無断転載した非難記事は33兆4239億4380万アクセスを稼ぎ出した。
 ちなみに、尻馬に乗ったブロガーたちの主だった面子の名前を挙げると、以下のようである。
グッチ・ハーク
モティエ・ナイ
エミン・ラダク
トゴネマ・ノン・ロギ
バロ・ワリョス、テラ・ワリョス兄弟
ギ・ゼン
エマ・テータ
イセ・ノトーヒ
イナクルワ・ハクボ
コーコロ・ヨワヒム
ヘルメン・リースカ
タレラ・ツタッツ
コ・マチ
バド・パト

 なお、銀河市民の名誉のために付け加えておくが、仔ノコ殺しを非難しているのはブロガーのみであり、銀河市民はこの騒動に一切加わっていない。そもそも、まともな銀河市民なら、「飼い主がそう決断したんだから、外野がとやかく言うことはないだろう」このように考えて余計な差し出口はしない。そういう性質の問題に、しかめつらしく自説を開陳するような野暮はブロガーくらいだろと相場は決まっている。また、ブロガーの中には「この問題には言及しません」などとわざわざ偉そうに書き込むものも現れ、銀河中の嘲笑を買ったことは記憶に新しい。

 同年8月28日、ノコノス事件勃発。
 数日前からKUSOブックマークサービスにたむろしていた行き場のないアクセスが、ノコノス公式サイトに流れ始めた。これに伴い81兆以上のアクセスによる負荷が惑星ノコノスにのしかかるように殺到し、ノコノス全域の電波を強力に妨害した。
 これにより、離陸直後の仔ノコ輸送船1000隻(仔ノコ500万匹搭載)がすべて墜落した。離陸時の管制塔から操縦がブロガーからの電波によって妨害されてしまった結果である。
 また、運悪くノコノス大気圏付近を航行していた超弩級輸送船が強力な電波妨害により大気圏に突入、二つに引き裂かれた船体は大気の摩擦によって溶けきらず、巨大な金属の塊となってそれぞれ北半球のアビシニアン大陸付近と南半球のチンチラ諸島付近に墜落した。この墜落の結果、アビシニア自治区のブチ、シマ、マダラ、タマ各都市を地表からえぐりとり、歴史あるチンチラ諸島を消滅させた。

 以上の二つの大墜落により、仔ノコを含む3億のノコと、5億のノコニアンが死亡した。しかし、被害はこれだけではすまなかった。輸送船の積荷が劇薬ノコイラズであったため、大気中にノコイラズの粉末が散布されてしまった。このノコイラズ中毒による死者がノコ、ノコニアン双方で最も多く、一次被害とあわせて18億5000万匹のノコと20億人のノコニアンの命を奪うこととなった。また、この事件をきっかけに各地で不妊や先天性異常を持つ子供の出生が倍増し、ノコノスの人口は目下急激な減少傾向にある。

 かくして惑星ノコノスの文明は半壊した。これが、ノコノス事件の全貌である。



■ノコノス事件後

 ノコノス事件発生の一報が銀河を駆け巡ると、銀河連邦共和国の特命により、直ちに事件の調査委員会が結成された。そして、事件をこれほど大きくしてしまった原因がブロガーの不見識によるものであるということが判明し、銀河中の話題を呼んだ。
 当時のブロガーの見識がいかに程度の低いものであったか、平たく言えば如何に馬鹿であったかということを証明する資料を紹介しよう。この資料は調査委員会に参考人として呼ばれたブロガーの陳述を記録したものである。

「はい、僕がイナクルワ・ハクボです。ええ、ノコノス星の事故については知ってます。大変でしたね。え?なんで僕のせいなんですか?僕は悪くないですよ。だってそうでしょう。僕はただ殺される仔ノコがかわいそうだという一心で記事を書いたりトラックバックを飛ばしたりブックマークしたりしたんですよ、尻馬に乗ったなんてとんでもありません。妨害電波になったって?それは結果論でしょ?僕は悪くないですよ。一緒になってブックマークをしてきた人たちが悪いのであって、僕に責任はありません。ええ、心からそう思ってますよ」

 なお、イナクルワ・ハクボは委員会に出頭する際は徒歩で入場したものの、帰りは意識不明の重体で担架で運び出されたことを追記しておく。



■銀河ブログ協会の設立

 こうして、書き散らすだけ書き散らして一向に責任をとろうとしないブロガーたちに業を煮やしたノコノス事件調査委員会は、怒りのあまり発展的解散を遂げ、同委員会のメンバーを中心とした新しい機関を発足させた。
 あらゆる下らない水掛け論に明確な解答を与えることによってブロガーの書くことを無くし、時には実力行使でブロガーの数を減らすことを至上任務とする特務機関「銀河ブログ協会」である。

(イントロ)
 
 いつの世にも馬鹿は絶えない。
 その頃、銀河連邦共和国は銀河ブログ協会という特務機関を設けていた。
 凶悪なブロガーの群れを容赦なく取り締まる為である。
 独自の機動性を与えられたこの銀河ブログ協会の長官こそソグ・キマ。
 人呼んで鬼のソグ・キマである。



続く

posted by ちんこ寺 at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(1) | 銀河ブログ協会の冒険 b_entry.gif

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