2006年09月15日

銀河ブログ協会の冒険 プロローグの続き

■プロローグの続き

 銀河ブログ協会の活躍は多岐にわたり、ありとあらゆる時代のありとあらゆるブロガーの話の種を華麗に奪い取っていったものだが、その中で最も輝かしい事例のうちの一つに、「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」という疑問を疑いの余地無く解決した調査員カバラ・スウの調査結果がある。

 ホアド・イナノウヨイクス星系出身の調査員カバラ・スウは、なぜか未開部族に限って「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」などという馬鹿げた質問をぶつけ合うという事実を発見した。実際問題、こんな話題をまともに話し合ってる連中といえば銀河広しといえどもブロガーか未開部族だけであり、まともな銀河市民ならば、こんな馬鹿げた質問を投げかけられたら間違いなく大爆笑するだろうし、不死生命解放同盟の連中などは本気で怒り出すだろう。ちなみになぜ不死生命解放同盟の連中が本気で怒り出すのかというと、彼らは宇宙の終わりが来るまで死ねない連中で、更に自分たちが不死であることに飽き飽きし、心の底から嫌悪しているからであり、寿命を持つ生命体が死や殺しについて偉そうに話しているのを聞くだけで憎悪と被害者意識が膨れ上がる連中だからである。
「本気で死にたい殺したいなんて思ってないくせに御託を並べるんじゃない、こちとら死にたくても死ねねえんだこの野郎」
これが不死者の魂の叫びであるらしい。

 ともかく調査員カバラ・スウは、多年の研究の末、「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」という問に対する一つの答えを用意した。その答えとは以下のようである。

問:なぜ人は人を殺してはいけないのですか?

答:歴史が狂うからです。


あとは答えの正しさを実証するのみである。典型的な事例として、未開部族でありこの馬鹿げた質問を最も多く繰り返す存在「ホモ・サピエンス」を選んだ彼は、ホモ・サピエンスとその祖先の歴史を研究し、370万年前のアフリカ大陸に飛んだ。そして昼夜兼行の探索でルーシーという女性を探し出し、見敵必殺の精神で射殺した。このアフリカ大陸の一端で起こった小さな殺人事件によって、その後の人類の進化は大幅な修正を余儀なくされた。具体的に言うと、その後の人類はルーシーからではなく、エレクトラから進化の枝分かれを開始し、さらには何かの手違いでホモ・サピエンスが登場せずに、ホモ・ネアンデルターレンシスがそのまま地表を覆い尽くす結果となった。

「どうだ、ホモ・サピエンスどもめ、殺人の是非などいちいち検証するまでも無いだろう?」

 現代に戻った調査員カバラ・スウは、人々に対し得意げに自説の正しさを吹聴したが、一つ重大な問題に気づいた。せっかく自説の正しさを自慢してやろうと思ったのに、自慢する相手であるホモ・サピエンスが消滅してしまったことに気づいたのである。ああ、そうか、さっきまで説教をぶちかましていた相手はホモ・ネアンデルターレンシスだったのか。だから、おれが説教している最中も奴らはわけがわからんという顔で阿呆みたいに口をあんぐりあけてたのか。

 そういうわけで、彼は自身の調査方法に誤りがあったことに気づき、自分との話し合いの時間を持つためにちょっとだけ過去に飛んだ。ルーシー殺害旅行に行く前の自分と話し合って、調査方法の不備を指摘し、より良い方法を模索するためであった。
 しかし、この行動が彼にとって不幸な結末を生んだ。未来のカバラ・スウは過去のカバラ・スウに自分の過ちを説明し、新しい方法を模索すべきだと提案したが、使命感に燃える過去のカバラ・スウは頑として自分の主張を曲げず、議論は平行線をたどった。ついには過去のカバラ・スウが強引に370万年前に飛ぼうとしたので、未来のカバラ・スウはやむなく過去のカバラ・スウに向けて発砲し、過去のカバラ・スウを射殺した。未来のカバラ・スウが事の重大さに気づいたのは、自分の体に穴が開いて過去の自分に折り重なるようにして倒れ伏した後だった。

 こうして調査員カバラ・スウの「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」の調査結果は、あやうく迷宮入りになるところだったが、運よく彼が珍しい死に方をしたために思わぬ形で脚光を浴びることとなった。
 彼の変死事件は銀河第473942-04823-0480-23174法廷で審議されたが、この珍事件が自殺か他殺かという問題を審議していた初代判事は、現行法の範疇外にある事件の解明に絶望し、被害者の死因を究明する前に、ピストルを自らのこめかみに押し当てて発射することによって自分の死因を解明した。この判事の自殺と事件の珍妙さのせいで、この案件は銀河中の注目を浴びることになったのだ。そして二代目から十五代目判事の努力とあきらめの繰り返しによって、次第にこの馬鹿げた事件の全貌が明らかになり、ついでに「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」の調査結果も、次第に明らかになっていったのである。

 かくして、銀河ブログ協会調査員カバラ・スウの命がけの調査の結果、我々は「なぜ人は人を殺してはいけないのか?」という問に対する明確な回答を得ることができた。しかし、同時に彼が調査に行っていないというのも紛れも無い事実であり、はたして彼が本当に調査に行ったかどうかの法的な解釈に関しては銀河第473942-04823-0480-23174法廷の最終的な判決を待たなければならない。

 しかしながらこれは、調査員カバラ・スウの栄光と死の物語ではない。その死を簡単に乗り越えて活動を続ける銀河ブログ協会と、その活躍の物語である。



続く
posted by ちんこ寺 at 03:18 | Comment(0) | TrackBack(1) | 銀河ブログ協会の冒険 b_entry.gif

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