2006年04月10日

銀河ヒッチハイクガイドのイギリス版とアメリカ版の違いを思いっきり書き殴りたいです

注意…この記事は「銀河ヒッチハイクガイド」原作小説と英国テレビドラマ版とハリウッド映画版を総覧した人以外にはわかりづらい記事です。また、作品の内容について深く触れますので、それを知りたくない人は読まないでください。

参考:wikipedia-銀河ヒッチハイクガイド



■私も銀河ヒッチハイクガイドを見ましたよ?

 ネコプロトコル‐銀河ヒッチハイク・ガイドを見たにて、銀河ヒッチハイクガイドの感想が書かれていました。素晴らしいことです。しかし一つ異論があります。

『映像集団Shynola作の「銀河ヒッチハイク・ガイド」のビジュアル』

 ↑これが見所の一つとして上げられていましたが、同じ銀河ヒッチハイクガイドのビジュアルならば、テレビ版の「銀河ヒッチハイク・ガイド」のビジュアルの方がよっぽど優れています。私は映画版のヒッチハイクガイドを見て残念だったことの一つは「銀河ヒッチハイクガイド」のビジュアルだったわけですから、オーシマさんにテレビ版銀河ヒッチハイクガイドを貸してあげたいくらいの気持ちでいます。もちろん実際には貸しませんが、あなたの知らないところに間違いなく良いものがありますから、是非騙されたと思って見てくださいという気持ちでいっぱいなのです。Amazonで売ってるので、是非買ってみてください。



↑左から順番に「原作」「イギリスのテレビ版」「アメリカの映画版」です。



■本題:イギリス版やらアメリカ版やらの話

 イギリスのTVドラマ版とアメリカの映画版を見比べて思ったことを書きます。まず結論から書きます。

結論:イギリス版の感覚には諦めの美学が深く根ざしているけどアメリカ版にはそれがないんだなあ。寂しいなあ。

 なんで結論のように思ったかというと、イギリス版とアメリカ版の銀河ヒッチハイクガイドの結末が、あまりにも異なっていたからです。簡単に言うと以下のようです。

1.アメリカ版にはゴルガフリンチャム人が出てこない
2.イギリス版では完全復活しない地球がアメリカ版では簡単に完全復活する



■なぜゴルガフリンチャム人が出てこないと「結論」みたいな話になるのか?

 ゴルガフリンチャム人の説明をしましょう。原作小説によると、ゴルガフリンチャム人は現生人類の祖先で、母星であるゴルガフリンチャム星から間抜けな形で追放された「役立たずども」という設定になっています。現生人類はゴルガフリンチャム人の中の「役立たずども」の末裔ということになっているのです。
 テレビ版では主人公のアーサー・デントとフォード・プリーフェクトは不可能性ドライブのせいで遠い過去に飛ばされ、ゴルガフリンチャム人の宇宙船の中に放り込まれます。そして宇宙船が墜落する先が太古の地球なのです。そこでアーサーたちは嘆きます。
「こんな美しい星が役立たずどもに占領され、200万年後にはヴォゴン人の手によって壊されるなんて」
 遠い過去に飛ばされたアーサーたちは地球の破壊を防ぐために何の手立を講ずることもできません。あまりに昔に飛ばされたため、バックトゥザフューチャーのような小細工が全く効かないのです。そしてはじめに嘆き、次には諦め交じりの穏やかな境地に至ったところで、ルイ・アームストロングの「What a wanderful world」の曲とともにテレビ版の幕が下ります。何の救いもありません。

 翻ってアメリカの映画版をみると、だいぶ様子が違ってきます。映画版ではアーサーたちは過去に飛ばされず、従ってゴルガフリンチャム人は登場せず、ヴォゴン人に破壊されたはずの地球は「バックアップを取っていたから」という理由で破壊直前の状態に復旧されます。もちろん地球上の人類を含めた生物もすべて元通りになります。

 もちろん地球復旧とともにあらゆる生命が復活するシーンは美しかったですし、地球復旧の理由が「バックアップを取っていたから」というのは現代風にアレンジされた非常に秀逸なアイデアだと思いました。しかしこのシナリオだとすべてが丸く収まってめでたしめでたしになってしまい、原作にある「諦めを前提にして自分の運命を笑い飛ばす微妙な陰影」が見事に消し飛んでしまっています。配給会社の意向とぶつかり、時には妥協しながら作った製作者サイドには同情しますが、映画版にはもうちょっと原作の持つ微妙な諦めの陰影を再現して欲しかったなあと思ったのです。

 あと細かいところでも最初のフォード・プリーフェクト登場のシーンでバイパス工事の監督者の役人との掛け合いが面白いのにそこが無残にカットされているなどいろいろ不満はありますが、総じて言えばやはりアメリカ版にはイギリス版にある「諦めの美学」が全く感じられないのが残念だなあと思うのです。



■最後に

 オーシマさんのいう「原作を知らないとつまらないと評価される映画だと思う」という意見には諸手を上げて賛成です。本当にそう思います。だから皆さん是非原作を読んでください。本当に面白いですから。
posted by ちんこ寺 at 22:52 | Comment(0) | TrackBack(1) | 鑑賞記 b_entry.gif
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Excerpt: 好きなものには反応したい年頃なので反応します! テレビ版の「銀河ヒッチハイク・ガイド」のビジュアルの方がよっぽど優れています。 不備日報 銀河ヒッチハイクガイドのイギリス版とアメリカ版の違いを思いっ..
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