2006年04月14日

HDD内臓型人間の未来像をマンアフターマンっぽく熱く語る記事

原案:takoponsの意味‐HDDが人体に内蔵されたら、それは内臓になるのか?

マンアフターマン(絶版)について知りたい人はアフターマンワールド「マンアフターマン」コーナーをご覧ください。amazonにも詳細が載ってます。



■200年後 HDD内蔵型人間の誕生

 西暦2207年、人類は進化の転換点に立った。HDD(ハードディスクドライブ)と脳髄の結合によって、第二の脳を手に入れることに成功したのだ。これにより、人類は脳腫瘍やクモ膜下出血等の難病や脳死の危険からようやく開放された。

 また、HDDと脳髄の結合は医療の他にさまざまな分野に影響を与えた。HDD移植患者の記憶能力の飛躍的な向上は、人類の限界を押し上げ、新たな進化への道標となった。しかし、この時期のHDD移植技術は未だ一般に普及しておらず、ごく一部の富裕層にしか広まらなかった。またHDDの故障による記憶障害や、漏電による突然死などの事故も発生し、安全性において懸念する声や、宗教、倫理的な面からの反発も大きかった。



■300年後 格差の拡大と新技術

 電脳移植技術はここ100年の間に飛躍的に進歩し、術後の生存率も大幅に改善した。また、新技術の開発により施術あたりのコストも引き下げられ、先進国を中心に広く一般にもHDD移植技術が行われるようになった。

 これに伴い、純粋な医療目的ではないやり方での技術の応用が盛んに行われるようになった。例えばHDD移植による脳の大幅な記憶力増加作用は社会階層の再生産の格差拡大をもたらした。金銭に余裕のある家庭では、子女の就学前にHDD移植手術を施し、詰め込み式学習で圧倒的な学力を身につけさせて、より高い学歴を与えられるようになった。その一方でHDD移植を施す金銭的余裕のない家庭に育った子女は、HDD移植者に対して記憶能力において全く歯が立たなくなり、学歴の格差が拡大していった。

 また、この時期になるとHDD以外にも多くのパーツを人体と融合させる技術の研究が進んでおり、CPU移植者や無線LAN移植者など、多くの移植者が現れるようになった。

 さらにダウンロード技術の発達により、人間の記憶や経験をハードディスクに保存し、他の人間に移植することも出来るようになった。最初の成功例は2307年で、ピアノを弾けない被験者に、ピアニストの経験を搭載したHDDを移植したところ、リストの超絶技巧練習曲の4番「マゼッパ」・5番「鬼火」をたちどころに弾いたとの記録が残っている。



■500年後 人類の二極分化

 200年前よりはじまった格差拡大は、このころになると決定的なものになっていた。人類はいまや、数多くのパーツを増設した「新人類」と、旧態依然の生体しか持たない「旧態人」に分かれてしまった。もちろんこの二つのグループは、交配すれば子孫が出来るという点では同じ人類である。しかし、社会的断裂はもはや埋め戻すことの出来ない段階にまできていた。

 「新人類」は政府や軍、大企業の要職を独占し「旧態人」を支配するようになった。また脳の大部分をパーツで代用できるようになった「新人類」は、老化する肉体を取り替えれば半永久的に生存可能になった。そこで旧態人から肉体を買い取る人身売買が流行するようになった。この人身売買は永遠の命を得たい「新人類」と、売買によって富を蓄え移植手術を受けて「仲間入り」を果たしたい「旧態人」との双方の思惑が合致したお陰で、ほぼ公然と行われた。一部の心ある人間の反対意見はことごとく無視された。



■1000年後 肉体の放棄

 長い間不可能とされてきた人格のパーツへの移植が、ついに実現した。これによって人類は肉体から離れて純粋に意識のみとして存在できるようになった。そしてついに人類は不老不死を手に入れたのだ。

 また、肉体を離れることにより五感は必要なくなり「人間」のあり方もそれ以前と比べると劇的に変化した。容易に交換できる知識や技術、経験は「人間」から固有の人格を奪った。人々はその場に応じて適切な知識や経験を選び、服のように着脱した。知識や経験の共有が進むうちに、肉体にとらわれていた人格は溶けて融合し、一つの完成された知性となった。おそらく1000年前の人類が彼らと出会ったならば、彼らを神と呼んだかもしれない。

 一方で肉体を持ったままの「人間」も少数ながら存在した。彼らは最後まで「機械に魂を取り込まれること」を嫌悪し拒否した人たちだった。彼らは数百年の間、使い捨て容器、家畜などといわれてさげすまれていた人たちの末裔である。
 彼らのごく一部は「神」のメンテナンスを行う技術者として生き、残りは文明の恩恵から見捨てられ、自然とともに生きる道を選んだ。



■10000年後 肉体への回帰と破滅

 一万年の間、人類は平穏な暮らしを享受し続けた。「神」となった人たちは不老不死のまま生き続け、文明から見放された人たちは、その数を減らしていったが、ある一定の限度で安定し、それ以降は進歩も後退もせず、小規模な農耕牧畜生活を今も続けている。

 しかし、異変が起こった。「神」の入れ物となる機械の故障が目立ちはじめたのだ。「神」はその全能たるCPUでもって原因を究明、修復しようとしたが、全く役にたたなかった。9000年の歳月のせいで、「神」の処理能力ではもはや修復不可能なまでに「入れ物」にガタが来ていたのだ。人類が肉体を捨てて以来、科学技術は9000年前より停頓し、全く進歩しなかった。もちろん小規模な修繕は何回となく行われてきたが、肉体を持った技術者たちが最初の千年紀の間に滅んでから、ほとんど野放し状態になっていたのがいけなかった。
 もはや「入れ物」の崩壊は免れなかった。仕方なく「神」は生物工学の知識を使ってかつての肉体を復元し、有限の命をもつ存在となって生き延びることにした。しかし、かつての文明の知識を完璧に引き継いだ新しい人類も、生き残るためにどうやって肉体を動かせばいいのか、その感覚を完全に喪失していた。このために肉体に戻った「神」たちは子孫を残すことが出来ず、100年を待たずして絶滅した。

 一方で文明から見捨てられた人々は「神」の絶滅のことなど知る由もない。彼らが「悪魔の城」と呼んで近づかなかった建造物から突然人間たちが現れて、いつの間にか死に絶えたことなど全く知らなかったし、知ったとしても恐れて近づかなかっただろう。彼らは今後も病気や猛獣、天災におびえながら、短く危険に満ちた一生を生きて子孫を残していく。一万年前の知識は、今や完全に失われた。彼らがまた文明を手に入れるまでには、まだ多くの歳月が必要になることだろう。

‐‐‐完‐‐‐
posted by ちんこ寺 at 02:16 | Comment(0) | TrackBack(1) | 妄想 b_entry.gif
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/16551515

HDD型人間未来世界の年表を作りました
Excerpt: ■前回の記事の年表を作りました 前回の記事「HDD内臓型人間の未来像をマンアフターマンっぽく熱く語る記事」を書いた際に、非常に充実した気持ちになったので、この記事をもう少し掘り下げて年表を作ってみ..
Weblog: 不備日報
Tracked: 2006-04-15 00:04
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。