2006年05月20日

ネバー・エンディング・ブログ・ストーリー その2

前回のお話

ネバー・エンディング・ブログ・ストーリー


■無断リンク戦線の大将軍

 妄想の翁の案内を得たコポンチは、庵から北へ向かい、無断リンク紛争地帯に足を踏み入れました。この地域は2000年の長きに渡って紛争が絶えない地域ですから、ところどころで硝煙の匂いが立ち込め、いたるところでときの声や砲声が聞こえてきます。コポンチは金玉が縮み上がる思いでしたが、もともと小さいのでこれ以上縮むことはありませんでした。

 コポンチたちは、こんな戦場を自分たちだけでうろうろするのは危険と思い、この方面を統べる大将軍に助力を乞うことにしました。

 さっそく大陸軍の大本営にある大テントをくぐると、大テーブルにかがみこみながら大地図をにらみつけ、大戦略を練っている大将軍に会うことが出来ました。大将軍はコポンチたちを見ると、大将軍らしい大度量を見せて大歓迎の言葉をかけてくれました。

「やあやあ、よくこられた。余が無断リンク大将軍である。我が軍は無断リンク禁止を叫ぶ賊軍を討伐し、ブロゴスフィアの法と秩序を守るものである。諸君の事前のお手紙なしの訪問は、ブロゴスフィアのリンクの根本原理をよく理解しておられる。歓迎しますぞ」

 大将軍のいでたちの立派さといったら、くろがねの大鎧に身を包み、差したる刀は一丈にも及ばんとする堂々たるものでした。そしてその脛当て(すねあて)の分厚さといったらありません。コポンチは思わず聞きました。

「大将軍閣下。閣下の脛当てはなぜそんなに分厚く重たそうなのですか?」

「うむ、この脛当ては賊どもの汚い罠からわが身を守るためのものじゃ。よいか?賊どもは正面から当たっても、わしの正当な主張にかなわぬと知っておるから、下らぬ揚げ足ばかり狙ってきおる。そこで、わしの足は分厚い脛当てで常に理論武装しておるのじゃ」

 大将軍の言うとおり、脛当てはただ分厚いばかりではなく、精巧な理論武装に満ち満ちていました。つまり「あなた個人のことを言っているわけではありません」「〜なのはどちらなのでしょうか?」「みんなとは具体的に誰とだれのことをさすのですか?」などの勇ましい言葉が大将軍の脛に満ち満ちていて、もし賊どもが揚げ足を取りに来たならば、すぐさまその言葉たちが敵を取り囲み、大将軍は窮地を脱することが出来るという寸法です。

 コポンチがなかばあきれ、なかば感心していると突然、伝令がテントに駆け込んできました。

「申し上げます!御挨拶の森に新規サイト3、アクセス数80が進軍、森に無断リンク禁止の陣を張っておりまする!」

「よぉうし、出たな賊どもめ。我がアクセス50000で取り囲み、森ごと焼き払ってくれるわ、がはははは!」

 大将軍は大いに興奮し、勇躍して刀を引っこ抜き、おっとり刀でテントから飛び出していきました。

 コポンチたちはテントの中に寂しく取り残されてしまいました。



■AMLRF‐反無断リンク抵抗戦線

 大将軍に置いてけぼりを食ったコポンチたちは、仕方なく別の将軍に助けを乞おうとしてある陣営に出向いたところ、問答無用で捕まってしまい、将軍の前に引き出されてしまいました。

 将軍はコポンチたちに言いました。

「貴様ら、挨拶もなしに人の陣営に入り込むとは、無断リンク大将軍のスパイであろう。どうだ、申し開きできるか」

 コポンチは必死で身の潔白を説明しました。すると将軍も少し落ち着きを取り戻しました。

「なるほど、君たちはスパイではないんだね?それにしても君らはものをしらなすぎだな。我々はAMLRF‐反無断リンク抵抗戦線‐の闘士なんだよ。そこに挨拶なしにきたら怪しまれるのは当たり前だろう。だいたい挨拶なしに人のサイトにリンクを貼るなんていうのは人の家に土足で足を踏み入れるような行為であり……」

 AMLRFの話は延々と続きました。コポンチがうんざりしながら改めてぐるりを見渡すと、無断リンク大将軍の陣営と比べてみすぼらしさが目立ちました。まず士卒の数がまるっきり足らず、説得力のある武器も余りありません。鎧も貧弱で、大将軍の脛当てのような理論武装すら満足にしていません。また、ここの将軍のみすぼらしさといったらありません。擦り切れた軍服に身を包み、いつも神経質そうに無断リンクのチェックをしていて、はたから見てちっとも心休まる暇もなさそうです。そしてどれだけ神経質にチェックしても、将軍のテントには情け容赦なくリンクの矢がガンガン刺さって来て、洪水を戸板一枚で防いでいるような心もとなさなのです。

 将軍の話はまだまだ続きます。コポンチとしては別にどうでもいいじゃないかと思うのですが、立場上我慢して聴かなければなりません。
 そこにまたもや伝令が駆け込んできました。今度の伝令は矢傷刀傷でぼろぼろになって息も絶え絶えです。

「申しあげます…、無断、リンク、大将軍の軍、およそ50000、ご挨拶の、森を、焼き払い、御味方、全滅……。首級80を、引っさげて、こちらに向かい、進軍中……」

 そういい終えると、哀れな伝令はその場に崩れ落ちました。
 将軍は恐怖しました。

「いかんいかんいかんいかん。このままではここも皆殺しだぞ。引き上げろ、引き上げじゃ」

 将軍は叫びながら逃げ出しました。士卒もチリヂリになって逃げていきました。コポンチたちはまた置いてけぼりを食いました。それどころか悪鬼のごとき大将軍がもうすぐ攻め寄せてきます。コポンチたちはあわてて逃げ出し、多少危険でも長居せずに戦場を突っ切ろうと決めたのでした。



■ネチケット墓地群とお寺の秘密

 悪夢のような紛争地帯を命からがら抜け出したコポンチたちは、ネチケット墓地群に入りました。ここは普及できなかったネチケットのお墓がたくさん並んでいる墓地で、卒塔婆には普及できなかった無数のネチケットの戒名が書かれています。

「故免徒必須居士 享年1週間 無断リンク大将軍ニ焼キ払ハル」
「無断淋苦禁止院 享年3ヶ月 無断リンク大将軍ニ焼キ払ハル」
「著作権無視居士 享年2ヶ月 無断リンク大将軍ニ焼キ払ハル」

などなど、数え切れないほどの卒塔婆が、月夜の光に照らされて、寂しげに、悲しげにたたずんでいます。

 コポンチは夜の墓場が不気味でたまりませんでしたが、翁の勧めもあって、お寺に一晩とめてもらうことにしました。

 お寺は墓地のはしっこにずいぶんと寂れた様子でたたずんでいました。コポンチと翁が挨拶に行くと、寺の小坊主さんがお話を聞いてくれました。小坊主さんはずいぶんとしっかりした調子の落ち着いた子供でした。でもどこかしら寂しげに見えたのは、月夜の墓地でのであいだったからでしょうか。

「無断リンク紛争地帯からこられたのですか……。それは難儀だったでしょう。どうぞ、当山をお使いください。……ただし、奥の間は絶対に除かないでください」

 翁が答えました。

「あい分かった。それでは今晩よろしくお願いいたします。ときに、お寺のご住職にも挨拶をしたいのじゃが」

「ご挨拶には及びません。住職はただいま所用で出かけておりまして……」

 小坊主さんは相変わらず暗い表情で答え、部屋まで案内してくれました。

 部屋に落ち着くと、コポンチはさっき小坊主さんの言った「奥の間」が気になって仕方なくなりました。ふすまを隔てたすぐそこが奥の間なのですが、なにか気配がしてたまらないのです。コポンチは我慢しきれなくなり、翁の止めるのも聞かずにふすまをほんの少し開けて、奥の間をのぞき見てしまいました。

 するとどうでしょう。月明かりでかすかに見えるがらんどうのような部屋には、包帯でぐるぐる巻きになった人のようなものがうずくまっています。部屋には包帯とたたみの擦れるかすかな音と、小さな唸り声だけが、しゃしゃ、しゃしゃ、うー、ううー、と響きます。コポンチは恐怖に震えました。

「見ましたね」

 後ろで暗い声が聞こえたので、コポンチと翁は飛び上がりました。

「な、な、なんなのですか、これは?」

 コポンチが震えた声で問いただすと、小坊主さんが静かに答えました。

「あそこにいらっしゃるのが、当山の住職でございます。あのような姿を誰にも見られたくないとお望みだったので、今日まで隠していたのですが……。お二人には驚かせてしまい、大変申し訳ございません」

 小坊主さんが説明するには、このお寺の住職は、数年前にあらぬ疑いをかけられて、無断リンク大将軍に寺を焼き討ちされ、大やけどを負ったとのことです。それ以来、住職は体中包帯だらけですごさなければならなくなり、さらに包帯に変な文字が次から次へと浮かんできて、恥ずかしさと恐ろしさのあまり気が狂い、奥の間に引きこもってしまったということでした。

 コポンチは小坊主さんにお願いして包帯の文字を見せてもらいました。

「なになに……『私がこれから書くことはあくまで一般論であり、別に揶揄しているわけではないし、もちろん特定の個人を誹謗中傷することを目的とするのではありません。また、ここに書くことは基本的にネタなので、そんなこと分かってるよバカとかお前は間違っているとか真剣さが足りないとか、そういうコメントは一切お断りします。真に受けないでください。つまり私が言いたいのは俺の寺を焼きやがって俺の体を焼きやがってあのくされ将軍がということであり、この怒りの表明は自戒をこめてのことです。追記:この記事はあくまでもメタエントリーであり、特定個人を攻撃するための記事ではありません。念のため。未熟者の若輩者ですが、なにとぞよろしくお願いいたします』……なんだこりゃ?」

 ポコンチは目がぐるぐる回る思いがしました。

「これって多分、大将軍に寺を焼かれて大やけどを負わされた悔しさを言いたいだけですよね。なんなんですかこのくだらない言い訳の数々は」

 小坊主さんはコポンチの問には答えず、こぶしを固くしてじっとうつむきました。膝の上のこぶしには、ポタッ、ポタッと大粒の涙が落ちました。

 背中を震わせ、石のように固まって正座する小坊主さんの肩に手を置いて、翁は言いました。

「コポンチや、君はどうしてこの小坊主さんが涙を落とすのか分かるかね?どうしてご住職の包帯に、こんなに多くの言い訳の言葉が浮かび上がってきているのか分かるかね?いいかい、この包帯に長々と言い訳が浮かびあがるのは決してこの方のせいばかりではない。また、すべてを大将軍のせいにして片付くものでもない。一人の人間ににここまで悪夢を見せ、狂態を演じさせるのは何か?それこそ人の心に巣食う虚無そのものではないかね。ご住職を責めてはならん。責めるべきは人にこのような狂態を演じさせる虚無そのものであり、わしらの旅の本当の目的は、そういうおぞましいものと戦う術を見つけることではないのかね」

 翁の優しく諭す言葉に触れて、小坊主さんはとうとう泣き崩れました。その晩、小坊主さんは泣いて泣いて泣き続けました。コポンチは翁の言葉と小坊主さんの悲しみに打ちひしがれて一睡も出来ませんでした。そして眠れぬ夜の間中、翁の言葉をかみしめるように、この旅の本当の目的について、ずっとずっと考え続けました。



その3に続く
posted by ちんこ寺 at 00:16 | Comment(3) | TrackBack(1) | コポンチ・イャチッチ b_entry.gif
この記事へのコメント
 第一話を上回る深く、考えさせられる内容です。住職の話は、なんだかある時期の自分を見るようでした。

 その3、楽しみにしています。
Posted by 寝太郎 at 2006年05月20日 11:34
モテ非モテの沼から来ました。
底なし沼です。 でわでわ。
Posted by たこぽん at 2006年05月20日 15:06
住職の話は、耳無し法一の話を思い出したときにひらめきました。
Posted by ちんこ寺 at 2006年05月21日 01:55
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Tracked: 2006-05-21 00:38
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