2006年05月21日

ネバー・エンディング・ブログ・ストーリー その3

前回のお話

ネバー・エンディング・ブログ・ストーリー
ネバー・エンディング・ブログ・ストーリー その2



■ネッタとマージの兄弟げんか

 ネチケット墓地群のかわいそうなお坊さんたちのお寺を後にしたコポンチたちは、次の目的地である正論港を目指して出発しました。しばらく歩いていくと、道の途中で2人の男が何やらもめているようです。コポンチたち(主にコポンチ)は気になって、思わず近寄ってしまいました。
 男たちはコポンチたちに気づく風も無く口論をしています。

「だから、いくら兄弟だからって、死ねばいいのになんて滅多に言うもんじゃないよと言ってるんだよ。何でお前はいつも話をはぐらかすんだネッタ?」

「マージ、ネタにマジレスするなんてマジでかっこ悪いぜ。兄弟なんだからよ、そんなちいせえこと気にすんなよ」

「何回も言わせるなネッタ。俺が言ってるのは、たとえ冗談でも人に向かって死ねというようなことは言うなといってるんだ。お前がいくらネタだネタじゃないとふざけた言い訳をしたところで傷つく人間は傷つくんだよ。正直俺は傷ついたぜ」

「うっせえバカ」

「何をっ」

 見かねてコポンチが止めに入りました。

「ちょっと待った、ほら、二人とも手を離して……。一体どうしたのですか?こんな道端で喧嘩なんかして」

「あ、あれ……、ああそうか、いやすみません、道のど真ん中をふさいじゃって……」

 マージが答えました。マージの話によると、マージとネッタは兄弟なのですが、マージからすると弟のネッタの態度が折に触れてシャクにさわり、ついつい小言を言ってしまうのだということでした。ネッタはマージが話している間中、「ネタニマジレスカコワルイ」とか「そんな釣りに引っかかるか」とか、さかんに文句を言ってはどやしつけられていました。

 マージの話によると、マージとネッタは早くに両親をなくして身寄りが無く、二人で力をあわせて生きてきたのだそうです。ところが、なぜかネッタだけ年を経るにつれて虚栄心が強くなり、ネタだの釣りだのと人を見下して喜ぶ癖が付いてしまったそうなのです。マージは、これも自分の教育が悪かったのだと、ひどく後悔している様子でした。
 コポンチはマージに心から同情しました。

「そうですか……。お兄さんも苦労が多いんですね」

 コポンチがマージと話し込んでいると、ネッタが歯をむいて怒鳴りつけてきました。

「おい、ギャラリーが口出すなよバカ。くだらねえネタにいちいち反応してんじゃねえよ。半年ROMってろこの電波野郎」

 コポンチは非常に気分が悪くなりました。寝不足というのもありますし、何よりもネッタの立ち居振る舞いがどうも苦手でした。そこでコポンチは関わりあうのをやめて先を急ぐことにしました。後ろからは再び兄弟の果てしない言い争いの声が聞こえはじめました。



■正論港の奴隷船

 ネッタとマージの口げんかがもうすっかり聞こえなくなって、さらにしばらく歩いていくとブロゴスフィア最大の港町である正論港に着きました。翁の話によれば、正論港は理屈水揚高、取引高ともに世界1位のどうどうたる港だということです。ここから出荷された理屈は世界中の理屈好きの装飾品としてさまざまな品物に加工され、流通し、もてはやされ、飽きられ、捨てられて海に戻り、再び正論港に舞い戻ってくるのだそうです。

 今まで戦場やら墓地やら、あんまり居心地の良くないところばかり通っていたコポンチにとって、活気に満ちて東西の珍しい品物溢れる正論港は夢のようなところでした。市場には正論ティーに正論白磁、正論経典、それになんとあの大将軍の理論武装脛当てと同じようなものまでありました。交易所では正論家の貿易商がお互いの正論をぶつけ合いながら活発に取引をし、酒場では正論好きな船乗りや荒くれ者たちが正論ビールを飲みながら、時には正論を応酬し、時には正攻法の喧嘩を繰り広げる始末。世界一理屈が好きな海の男たちの溜まり場となっていました。

 しばらく港町をあるいて見物していると、たまに鎖につながれた人たちを目にすることがありました。コポンチは翁に聞きました。

「あの、たまに鎖につながれて歩いている人がいますけど、あれってなんなんですか?」

「ああ、あれは文字の奴隷じゃよ。大きな声では言えんが、ここ正論港では奴隷貿易も盛んに行われているんじゃよ」

「奴隷なんですか?なんだかずいぶん偉そうな人たちのように見えますけど」

「確かに、不思議に思うのも無理はあるまい。あの奴隷たちは自分たちが鎖につながれて奴隷になっていることに気づいていないんじゃよ。だからあんな鎖につながれながら、したり顔で街中を歩けるんじゃよ」

 コポンチはなんだかよくわからない気持ちになりました。あんな鎖をつながれて気づかないなんていうことがあるんだろうか?そんなことがあるわけが無いと思いました。そんなコポンチの気持ちを見透かすように、翁は話を続けました。

「人間には見たくないものは見えないものなんじゃよ。とくにこのブロゴスフィアでは見たくないものを見えないことにして済ますのは簡単なことじゃからの。意識的であれ無意識的であれ、見たくないものを見えなかったことにしてしまうクセがつくと、すぐに文字の奴隷に転落してしまう。とくにこの正論港ではな」

「どういうことですか?僕には全然意味が分からないですよ」

「つまり、ここ正論港では普通よりたくさんの正論に触れることが出来て、その理屈を誰でも気軽に借りることが出来る。しかしそれが奴隷転落への落とし穴なんじゃ。正論を吐くのは気持ちいいじゃろう?だからみんな自分の本当の気持ちを深く考えようとせず、ついつい居心地のいい借り物の正論に頼りきるようになってしまうのじゃ。本当の自分はこういう風に思っている、でもお前は間違っているといわれるのが怖い、だから無難な正論を借りてとりあえずしゃべっとけという心が、やがて依存心を生み出すのじゃ。そしてひどいのになると、自分の感情を理屈で固めて正当化し、正論めいたものをこねくり回すようになる。こうなるとうわべを取り繕うのに精一杯になって字面の解釈のみに目が行くようになり、人の心の動きが見えなくなる。そうなると鎖につながれているのにも気づかず、正真正銘の文字の奴隷に転落してしまうんじゃ」

「ううん、難しいですね。分かったような分からないような……。ところで、その奴隷たちはどうなるんですか?」

「うむ、奴隷たちは自分たちが奴隷になったことに気づかないまま奴隷船に乗せられて沖に繰り出すんじゃ。船の中は奴隷たちの華やかなサロンになっており、喧々諤々の大激論、正論まがいと自己正当化の坩堝になっておる。なにしろ彼らは自分たちが奴隷になっていることに気づいていないし、おしなべてプライドの高い気難し屋ばかりじゃからの。そこでころあいを見計らって船底の弁を抜き、奴隷ごと船を沈めるんじゃよ」

「ええ?なぜそんなひどいことをするんですか?」

「それは、奴隷たちの繰り出す理屈は、海に沈むとやがて新しい理屈となって海中を泳ぎ回り、やがて港に水揚されて、正論港の水揚高に貢献することになるのじゃ。聞くところによると、正論港の水揚高の半分近くがこの奴隷たちの命でまかなわれているとの事じゃ」

 コポンチは大変なショックを受けました。

「狂っている、こんなばかげたことがあっていいのでしょうか?」

「確かにあってはならないことじゃ。しかし奴隷たちがいなければ正論港の今の繁栄は無いんじゃよ。コポンチや、物事の本質を見失ってはいかん。正論正論といったところで、結局自分がしっかりしていなければ何も見えていないのと同じことなんじゃよ」

 翁は優しく諭してくれました。しかしコポンチの心の中は割り切れない気持ちでいっぱいになり、いまにも破裂しそうな気持ちになりました。この正論港には、巨大な虚無が積もり積もっているようです。もしこんなものがブロゴスフィアをすべて丸呑みしてしまったら……、そう思うと体の奥から震えが伝わってきて、今にも歯がガチガチ鳴りそうです。こんなばかげたことをやめさせるためにも、はやくメタの賢人に会いに行かなくてはと、コポンチは決意を新たにしたのでした。



その4に続く
posted by ちんこ寺 at 00:37 | Comment(3) | TrackBack(1) | コポンチ・イャチッチ b_entry.gif
この記事へのコメント
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Posted by ちょっと失礼します at 2006年05月23日 00:43
虚無が迫ってきたのでURLを削除して対抗しました。
Posted by ちんこ寺 at 2006年05月23日 11:32
……虚しいですね。
Posted by たこぽん at 2006年05月23日 23:12
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Tracked: 2006-05-21 23:42
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