2005年09月21日

はてなブックマークのコメント欄が私たちにもたらしたもの

■前回の記事、はてなブックマークについてのメモの続きです。



■今回の記事では、主に「はてなブックマークのコメント欄は私たちに何をもたらしたか」を書きます。
まなめはうす:2005-09-14 (Wed) 23:01 誰かこのテーマで考察して
のお題であるところの、

・はてブコメント文字数の上限について
・はてブユーザが自分のブックマークを見直すこと

を、発展させ、前回提示した↓のテトラッドを文字に起こして、いろいろ考察しました。
tetrad01.jpg


■あと「断片部‐lis::はてなブックマークのコメント欄パンク問題」というところで、はてなブックマークについて書いている記事を集めているようなので、参考になればと思い、トラックバックしたことを書いておきます。
この話題が気になる人は見に行ってください。


それでは、テトラッドによるはてなブックマークのコメント欄の考察、スタート。



■強化
はてなブックマークのコメントは、人間の海馬の強化だ。もともとブックマーク機能は人間の記憶、メモ帳等の書かれた記録の進化だから、ブックマークの延長たるSBMは人間の記憶の延長といえる。

また、はてなブックマークに付随するコメント機能は、利用者の検索能力を強化する。本を読むときに「しおり」の代わりに付箋をはり、付箋に小さなメモを書き残すやり方があるが、はてなブックマークのコメント欄は、この「付箋に書かれた小さなメモ」の拡張である。

さらに同じ記事をブックマークしている人のタグやコメントを読んだり、「お気に入り機能」を駆使するによってことによって、利用者全体の知識や情報を検索して、新しい情報、知識を生み出すことも可能である。
はてなブックマークは人間の海馬のみならず、大脳の拡張、神経組織の拡張であるとも言える。



■衰退
同時に、はてなブックマークのコメントは、検索能力向上の手段の他に、コミュニケーションの手段として使われる。これによって、個々のブログのコメント欄は、はてなブックマークのコメントに取って代わられ、衰退する。
なぜなら、ブログのコメント欄が記事中心、管理人主体(削除権限等)、双方向コミュニケーションであるのに対し、はてなブックマークのコメント欄は、コメント者の感想中心、コメント者主体、非双方向コミュニケーションであり、あくまで情報の検索が目的だという建前も用意できるので、コメントをつける際の利用者の心理的な壁が、はるかに低いからだ。

ブログのコメント欄が衰退することで、ブログ管理人と読者の一対一の問答も衰退する。はてなブックマークでは、「同じ記事をブックマークしている人を見つけられる」という平面的な広がりを得られるが、ブックマークしたブログ管理人との一対一の対話によるテーマの深化や新たな論点の発見はできにくい。

また、はてなブックマークのコメントは、プライベートな空間も衰退させる。従来のブックマークは自分しか見られない、純粋に検索用のものであったため、そこに蓄積される情報は基本的に個人の興味の範囲と合致していた。
しかし、はてなブックマークでは、コメント欄の存在により、利用者同士のコミュニケーションが発生するので、純粋に検索用のブックマーク以外の使われ方をすることがよくある。個人の興味の範囲と完全に合致するとは限らず、人に見られたくないブックマークは姿を消し、コミュニケーション目的のブックマークも存在するようになった。
はてなブックマークは、コメント欄の存在によりコミュニケーション志向が高まり、従来の純粋に検索能力補助を目的としたプライベートな空間を衰退させた。プライベートモードを使う人は、ブックマークにおいて、コミュニケーションを介さずに検索能力を高め、一方で旧来的なプライベート空間の回復を望む人だ。



■反転
はてなブックマークのコメント欄がもたらすものは、プライベートな空間や情報の深化の衰退だけではない。コメント欄から生じるコミュニケーションは、情報の迅速な広がりに便利だが、度を越えると、ただの井戸端会議に反転する。はじめに記事ありきではなく、コミュニケーションを目的として記事を取り上げるようになると、情報の伝播はさえぎられ、情報の迅速な広がりを助けるという本来の機能を失ってしまう。

また、コメント欄の他に「お気に入り機能」がついており、これがコミュニケーション志向を加速させる。しかし、元々情報の横の広がりを加速させるための「お気に入り機能」は、使い方によっては、利用者の巡回先を限定させてしまう側面もある。

そこで、同じ記事に同じような面子がブックマークをする傾向が現れる。この傾向が行き着くところまでいくと、はてなブックマーク上に無数に、mixiに代表されるSNSに近いけれどもそれよりもゆるい閉鎖型コミュニティが形成される。



■回復
回復とは、古い構造が新しい技術によって回復することを指す。

・はてなブックマークのコメント欄は古代ギリシャのアゴラ(広場)を回復する。古代ギリシャの都市の真ん中には広場があり、そこで市民たちが政治や、哲学や、科学など、多くのことを語りあった。
はてなブックマークは、コメント欄の利用によって利用者なら誰でも気軽に参加できるアゴラを提供している。コメント欄によって、ブックマークされた記事ごとに、市民なら誰もが参加できるアゴラが無数に存在するようになった。

・また、新聞の投書欄と、はてなブックマークのコメント欄とは、似た部分を持つ。
基本的に一方通行のメディアであり、自分の意見を一方的に述べるにとどまるからだ。はてなブックマークでコメントをつけられると反応しにくいという声があるし、新聞の投書欄も、言及された人、たとえば自著に対する意見を投稿された作家が投稿者に紙面で議論を吹っかける例はあまり見ない。

・はてなブックマークのコメント欄は、50文字という字数制限、タグのような固定された様式を持つという意味で、散文というよりかはむしろ詩歌に似ている。
日本の短歌、俳句、中国の五言絶句、ヨーロッパのソネット、詩歌はおよそ定型で、韻を踏むなどの様式を持っている。
50文字の字数制限がキツイという意見が出るのは、おそらく散文としてコメントを使っているからであり、コメント欄をひとつの詩、タグを様式、字数制限を五七五のような「型」だと思って運用すれば、「50文字はキツイ」とは思わないはずだ。
コメント欄の50文字制限は、使い方の洗練が続けば、詩歌の回復につながる。

また、ブックマークされた記事に定型の短いコメントが時系列についていくさまは、日本の伝統である連歌を連想させる。




■以上、テトラッドを使って考えた断片を集めました。本当に取り留めのない記事なので、ここから細かい話題を拾って深化させ、新しい記事群を作っていこうかなと思います。
posted by ちんこ寺 at 03:12 | Comment(1) | TrackBack(2) | はてな b_entry.gif
この記事へのコメント


籾井会長の発現が何が悪い。韓国に対しての発言もまちがっていない







Posted by 名無 at 2015年03月17日 11:05
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